わずか2坪の空間。置き場のないおもちゃや生活用品。 この狭い空間で、小児がんの子どもたちは半年以上にわたって病と闘いながら 遊び、学び、そして、心身ともに成長していかねばなりません。 付きそう親に与えられた小さな簡易ベット。 隣と隔てるのはたった一枚の薄いカーテン。 熟睡できず疲れた身体で、隣を気遣いながら、わが子を案じ、いたわり、励ます親。 親子ともどもあふれ出る感情を押さえ込み、じっと我慢している空間。 離れている家族にも思いを馳せる空間。 「夢の病院は家です。」 家には、この狭い空間にはない、本当は当たり前の「幸せな事」がいっぱいあります。
高度な医療が提供されている日本ですが、小児がんに特化した専門病院はありません。 近年全国の子ども病院などでは、子どものQOLに配慮した治療がすすめられるようになり、がん患児のQOLについても重要視されてきています。 ただ、化学療法中に特有のケア(抵抗力が落ちることによる感染予防、病室の空気をきれいにするなど一定の設備、化学療法中に食べやすい食事、きょうだい児との面会への配慮など)を優先させるためには、がん治療中の子どもとその家族の状態を重視した専門病院が必要です。 また大学病院などでCTなどの画像検査は予約でいっぱいです。じっとしていられない子どもは、鎮静剤を使用することによって検査をしています。子どもが自然に眠った時に検査を行うことがベストですが、その時間的余裕がないのが現状です。また他科(耳鼻科、眼科など)を受診する時は、大人の外来患者様と同じ待合い室で待たなければいけません。普段病棟では感染予防のためプレイルームにも出て遊ばないほうがよいという状態のなか、風邪の人がいる外来窓口でマスクをして診察を待つという矛盾した環境です。 また、勤務医の労働環境は一般に思われているほど良くなく、すぐれた実績がある小児科医でも、「アルバイト」で夜間救急病院の当直をしながら生計を維持しています。 さらに、小児がんを専門とする看護師や、病棟保育士、院内学級の制度も日本では十分な仕組みとなっていません。病院の外では当たり前のこと、友達と遊んだり、勉強したり、家族とともに自由な時間を過ごしたり、ということが、小児がんの患児たちには保障されていません。 ■ 専門医や治療に関する情報をセンター化するなど、小児がん専門医が安心して 治療に専念できる環境を整える必要があります。 ■ 治療面でのQOLに加え、発達段階に合わせた患児の育成に配慮したQOLの 向上を視野に入れなければなりません。
第3回シンポジウム 小児がんのQOLについて考えるin大阪(2010年2月/参加者約130人)